口内法による顎下型ガマ腫・顎下腺良性腫瘍摘出術

口内法による顎下型ガマ腫・顎下腺良性腫瘍摘出術
(担当:岩井俊憲。外来: 月・火(午後)・木(午後),全身麻酔手術日:水)

 ガマ腫(ranula)は舌下腺から何らかの刺激で唾液が漏れ出ることにより生じ,直径数cmの青味がかった透明感のあるドーム状の膨らみとして口底部に生じます.通常はまず開窓療法といってガマ腫を切開して唾液の出口を作る治療を行いますが,再発する場合もあります.再発を繰り返す場合には舌下腺を含めてガマ腫を摘出する必要があります.手術を行わない方法として,最近保険適応になりましたOK-432(ピシバニール)をガマ腫の中に注入する方法があります.この治療の副作用としては発熱と腫れがあり,また治癒するまでに何回か注入する必要があり,治癒するまでにある程度の長期間が必要となります.最終的に治療法(手術と保存的治療)を選択するうえで,年齢や治療期間などいろいろな要素を考慮する必要があります。
 まれに口底部には膨らみがなく顎の下だけが膨らんでいるタイプのガマ腫が生じ,それをplunging ranula(顎下型ガマ腫)と言います。舌下腺は顎舌骨筋という筋肉の上に存在しますが,その筋肉の前方または後方,まれにその筋肉の隙間から,ガマ腫が顎下部に入り込むと顎の下に膨らみが生じます。
 このplunging ranula(顎下型ガマ腫)に対して,顎下部の皮膚切開を行って摘出する誤った治療法が行われることがあります。このガマ腫も基本的には舌下腺から生じているために,摘出術を行うのであれば舌下腺を含めて摘出しなければ治癒しませんので,口内法での手術を行う必要があります。顎舌骨筋の隙間からガマ腫を摘出するには熟練した技術が必要ですが,われわれは低侵襲な治療を目指しており口内法のみでの舌下腺とガマ腫の摘出術を行って,良好な結果が得られています。
 さらにまれではありますが,顎下腺から粘液囊胞(唾液のたまりの袋)が生じることがあります。この場合には通常皮膚を切開して顎下腺を含めて摘出する必要がありますが,われわれは低侵襲手術として皮膚切開を行わない口内法で顎下腺も含めて摘出しています。

  • 画像診断:CTやMRIを撮影して,ガマ腫の位置と発生している組織を確認します。
  • 手術:顎下型ガマ腫の多くは舌下腺由来ですので,口内法で口底部を切開して舌下腺やワルトン管(唾液の出る管)を確認して,ガマ腫が舌下腺から生じているのか確認します.舌下腺から生じているのであれば,舌下腺とガマ腫を摘出します.顎下腺から発生しているのであれば,舌下腺を摘出した後に顎下腺も口腔内から摘出します.

(顎下腺から生じたガマ腫の口内法での摘出術)

 顎下腺良性腫瘍は通常,皮膚切開を行ってから摘出されますが,大きな皮膚の傷が生じ,顔面神経麻痺が生じる可能性があります。そのため,皮膚切開を行わない治療を希望される患者さまには,顎下腺腫瘍の大きさや位置にもよりますが口内法での摘出を低侵襲手術として行っています。しかし,口内法で手術を行う場合,舌神経(舌の感覚の神経)が一時的に鈍くなり,ピリピリしびれるといった症状が生じることがあります。

手術は全身麻酔で行う必要がありますが,入院期間は2泊3日(顎下型ガマ腫摘出術),または3泊4日(顎下腺摘出術)です。
神奈川・横浜だけでなく,東京・千葉・埼玉など近郊,さらに遠方からも患者さんが受診されています。
低侵襲手術のご希望がありましたら,紹介状(できれば画像データも)を持参のうえ、ご相談下さい。
学会などで不在のことがありますので,メールか電話で診療可能かご確認下さい。
横浜市立大学附属病院(代表)045-787-2800 
→岩井先生へのメールでのお問い合わせはこちらから

【News】
・2014/10/19 岩井俊憲助教が第59回日本口腔外科学会総会のシンポジウム「口腔外科領域での内視鏡の応用」でシンポジストとして講演しました。
・2014/4/25 横浜市立大学先端医科学研究センター市民講座でプロジェクトリーダーの岩井俊憲助教が「患者さんにやさしい歯科・口腔外科の内視鏡手術」の講演を行いました。
・2014/4/18 岩井俊憲助教の内視鏡の研究が神奈川新聞に掲載されました。
・2013/10/11 岩井俊憲助教が第58回日本口腔外科学会総会 若手口腔外科医のためのミニレクチャーにて、 「口腔顎顔面領域における内視鏡を用いた低侵襲手術-導入のためのA to Z-」のテーマで50分間の講演を行います。